音楽エッセイ増刊号(2002/03/11)

MP3とそれにまつわるエトセトラ

(2002/03/11)

最近、何かとオンラインでの音楽ファイルのやり取りが問題、というかヤ リ玉に挙げられてる。これについて述べてみよう。まず、私の立場を明確にし ておく。私は「オンラインでの音楽ファイルの交換大いに結構。賛成派」なの である。これは、私が単にオンラインで音楽を聴けるのは便利、そういうカル チャーに浸っているから、新しい物好きだから、ケチだから・・・ということ ではない。色々考えた結果、

結局こうなったのである(笑)

そのあたりについて、考察してみよう。


まず、音楽業界にかなりの損失を与えている、という話を考えてみる。そ もそも、音楽業界にどのくらい損失を与えているか、というのはわかりにくい し、無理矢理計算して、このくらいの損害が出ている、という数字を提示され ることもあるが、

実は音楽業界全体でみればささいな値

だと考えている(*1)。実際の所、各レコード会社等々の利益がどのくらい なのか知らないが(しばし公開されていない)やはり、ヒット曲1つの利益を 考えるとたいした金額ではない。それに、交換されている曲の大多数の曲は実 はヒット曲であり、必然的に曲を買う人間がいる構造なのである。(言い方は 悪いが)どうせしばらくしたらレンタル屋のカゴで10円程度で売られる曲、 ネットに繋ぐ金額を考えれば妥当ではないだろうか。


次に、音楽に「品がなくなる」などと変なモラルめいたことを言う人間を ザックリ切っておこう。以前、朝日新聞にお茶の水女子大の哲学の教授がウダ ウダと「音楽が破壊される」などと書いていたが、(この記事紛失してしまし ました。現物持っている、いつの新聞かご存知の方、情報求む!)「国立の大 学の哲学の教授がこんな短いスパンで物事を見ているのか・・・」と、はっき り言って、

情けなくなった。


まず、音楽の歴史から考えると、まず最初の革命と言える出来事は「音階 ができたこと」だと思う。この点色々意見等あると思うが、少なくとも一番近 い最大の革命は「譜面ができたこと」というのは言い切っても問題がないと思 う(と私は思っている^^;)。譜面というものができてから色々と音楽的に革 命と言える出来事はあったと思うが、譜面がある前、できた後というのでは果 てしない差があると思う。そして、次なる大革命、というべきものは

「演奏が残せるようになった」

(平たくいえば録音。ピアノロールなどの存在もあるので、あえてこうい う表記にした。)ことであると思う。

譜面が出来て、今現在の形に落ち着くまでの変化に必要とした時間を考え てみよう。そして、演奏を残せるようになってから今現在までの時間と比べて みよう。実はピアノロール等の機械、レコード、CD、DAT等々の進化とい うのはごくごく当然のことだとわかってもらえると思う。私は、演奏を残す技 術はまだまだ進化の過程にあり、落ち着くまでにはもうちょっと時間がかかる、 と考えている。私の考える演奏記録の最終ステップは、マスターの演奏を入手 し(無料で入手できることが基本。その他の付加価値にはお金がかかるし、投 資もできる)、それを小さな機械に収め、いつでも好きなように聴ける、とい う状態である。これが私の考える極限であり、これがスタンダードになると思っ ている。

ただし、考えの及ばないパラダイムシフトが発生する可能性はある。そん な世界は・・・怖いがちょっと見てみたい。もちろん、今の曲がデタラメに配 布されているのがいいことだとは思わないが、守られるべきは、

作曲者・演奏者の著作権であって、会社の権利ではない

と考えていることは分かっていただきたい。そういう意味で、まだまだ今 の技術は改善の余地がある(*2)。ちょっと話が逸れたが、結局の所、レコード がCDになって音が悪くなった、品がなくなった、CDがファイルになって音 が悪くなった(まあ、実際音声の一部をカットしているのは認めざるを得ない が)、品がなくなった、と言う話は、私から言えば、

「何言ってるの?」

と言わざるを得ない。これが、世界を見つめるべき哲学者の発言だという のだから、首を傾げることしかりである。


最後に、音楽のみならず、社会全般に言えること書こう。まず、我々は何 でもタダだと思う姿勢を改めるべきである。かといって、無料であることを否 定するわけではない。無料であることは素晴らしい、当然じゃないか(笑)。 しかし、それが無料である以上は色々なモノ・イデオロギーに囚われているこ とを自覚するべきだ。本当に価値のある情報はお金を出さないと手に入らない、 ということを忘れてはならない。逆に言えば、我々が投資しないといい情報と いうものは育たない、ということである。一人一人の個人が文化の担い手であ ることを自覚しよう。そうすれば、きっと素敵な音楽の楽園が未来に広がるの だ、と、そう思う。


*1):実は、音楽業界の利益構造を優先するならば、先に対策を施すべきは 売れない音楽家を切り、効率の悪いモノを捨て去ることである。実際、オーケ ストラ、クラシックの作曲家、演歌歌手を捨て去れば、赤字も黒字に変わるの ではないか?実際、世界には10人のピアニスト、3人のバイオリニスト、1 人のチェリストがいれば十分だ、と言い放つ豪快な人もいた。

*2):私は、オープンソフトゥエアの環境でコンピューターを学んだので、 私の考えている著作権のありかたはちょっと理解しづらいかもしれない。この あたりを説明するととてもページが足りないので省略する。知りたい方は、 Linux文化、GNU文化関連書籍を参照のこと。


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