立花 隆「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」(2001/09/19)

まず、この本は3部構成になっている。「序章」「書評」「『捨てる技 術』を一刀両断する」の3つである。「序章」は人間にとって知というものは どういうことであるか、どうしてこのような書評をしているのか、本の販売の 変遷等が書かれている。「書評」はまさにその通り書評。残りも読んで字のご とくである。序章はこれだけでも十分価値のある文章だと思う。スケジュール が詰まって忙しい人はここだけ読めばよいだろう。逆に暇な人は書評を見なが ら面白い本を探してみるのがいいだろう。

裸の王様「知の巨人」立花隆

ただ、氏の意見には問題のあるところが多々ある。(もちろん優れてい るところもたくさんある)これについて述べたい。まずは「序章」について。

まず、人間にとって、「知識をいかに咀嚼するか」ということに価値を 当てていることは高く評価したい。しばしば学生が「こんなの勉強して役に立 つのかよ〜」と言っていたりするが、そういう輩はぜひ序章を読んでいただき たい。

また、「音楽や文書がシーケンシャル(連続的)」であることを指摘し ている。前からそう思っていたが、知識人の言説としては初めて見た。これも 高く評価するが、これだけで片付けるのは早計だと思う。例えば音楽はシーケ ンシャル、1次元的であるが、ドイツなどの作曲家はしばしば聴き手に音楽を 立体的に再構築することを要求している。例えば、ベートーベンの運命1楽章。 流れのままに聴き流してしまえばそれまでだが、それではまったく意味がない。 テーマが反復され形を変えていく様を建築物のように捉えることが重要なので ある。また、文章は「読み戻る」ことができるため音楽よりさらに自由度が高 い。なおかつ、文字を平面に配置(立体でもいいが・・・)することで、さら なる表現技法を駆使することができる。たとえとして、メモ用紙があれば、す べての駒を書くことによって将棋ができる(!)ということを考えていただき たい。

そして、氏は視覚が表現の手助けをする(要するに図が入るとわかりや すい、ということ)と記しているが、これはまさしくその通りであると思う。 しかし、この本の中に一切図版が入っていないのが不思議でたまらない。これ は他の本を読んで氏のスタイルを確認する必要がある。

次に「書評」について。氏は速読で要点だけを取り出しているようだが、 しばしば大きな誤解をしていることに気がつかなかったり、トンチンカンなこ とを書いていたりする。確かに人間は失敗をするものだが、連載を本としてま とめる際にはその点をチェックしないのだろうか、と疑問に思う。ちなみに、 トンチンカン、と思ったのは見沢知廉「母と息子の囚人狂時代」の評。本来の 内容とはまったく無関係なことを取り上げて推薦している(または、本来のテー マを理解していない、と言うべきか)。氏は見沢氏の他の著書は読んでいない のだろうと思われた。

最後に「『捨てる技術』〜」について。氏は「捨てる」ということに真っ 向から否定している。人の物は捨てやすい、というのも的を得た指摘だと思う。 (部屋の汚い方は、他の人に掃除させて物がなくなった、という経験があるの ではないだろうか?)しかし、氏は一切情報をいかに管理するか、ということ に触れていない。

あまり公言していないが、私は野口由紀雄フリーク、というか超整理法 フリークである。野口氏の超整理法関連の書物(新書で3冊ほどある)は非常 に高く評価されるべき本だと考えている。しかし、立花氏はまったく「整理」 というものを考えていないように思われる。省略して書くと立花氏は「整理」 は人任せなのである。書物のコピーは担当編集者に取らせる。書物の保存にビ ルを建てるが、その整理については明らかにされていない。(果たして、ビル の中にあるほどの書物から、必要な書物を取り出すことができるのが不思議で ならない。もし可能なのであれば、よっぽど有能な秘書がいるのであろう)つ まり、アシスタントを雇うことのできない一般の人々にとってはただ否定して いるだけで、用をなさない文章なのである。このような文章を流布させるのは いささか傲慢ではなかろうか?

まとめとして、この本の評価をしておこう。5段階で言えば4。「序章」 の文章、またブックガイドとしての価値は高いが、「すばらしい」とは言い切 れないのだ。

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佐藤 宏明「精神病棟の中で」(2001/09/15)

以前、私は鶴見済「檻のなかのダンス」評で、「監獄と閉鎖病棟の類似」 を指摘したが、この本を読んだ後、やはりあの考えは間違ってはいないな、と 思った。この手の精神病院の手記は色々あるのだが3ヶ月程度、という中途半 端な入院期間は珍しいかもしれない。また、病院というのは、地方差、病院自 体の差がかなり大きく出るので一概にこの通りでないことは心して読むべきで ある。

さて、それを差し引いても著者の環境はまずまず恵まれているのではな いのでは、と思う。最初はひょんな羽目から保護室に入れられる羽目になって いるが、それ以降、普通の病棟になってからは、外出ができるという環境、図 書館で本を選んだり、買い物をしたり。開放病棟とほとんど変わらない生活を している。

ここで、あえて閉鎖病棟である、ということを差し引いて残る作者のメッ セージは、精神病患者の自立促進、という提言である。そもそもの生きること に対するスタンスはイマイチ共感できないが、著者の提言は一理あるし、病棟 のなかで同じことのくり返し、「飼わ」れ「死んで」ゆくことを考えると恐ろ しさで汗が出てくる。

しかしである。開放・閉鎖病棟であることに関らず、果たして患者達に 筆者のメッセージが届くのか、と言うのは最大の疑問である。

書評には載せていないのだが、(別のページで書く予定だったが、書かぬ まま予告が残っている・・・)「開かれた病棟」という本がある。そこに登場 する実在の精神病院は、患者が快適であることを第一に考えている。監獄とい うよりは、むしろ普通病院なのだが、それでも社会が許さないのか1/3ほどの 人がいつまでも病棟に住みつづける、という状態だそうだ。「俺一生この病院 にいるよ・・・」そう言ったものもいるそうだ。終りなき日常、これが天国か 地獄なのか。それは、紙一重の所に存在するのだろうか・・・

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小林よしのり「戦争論」(2001/08/19)

実は漫画は取り上げないと言っていたが、あえて取り上げる。古い、と メル友に指摘されたが、まあ、今まで図書館にあるのに気が付かなかったから である(苦笑)。立ち読みするには厚すぎる。まあ、基本的に思想書と見るこ とができるからあえて書評で取り上げる。

しかし・・・、読んでいて思ったのは、この人は「自己顕示欲が非常に 強いのだな」と思った。以前、文庫で「差別論スペシャル」というのを読んだ ことがあるが、これも自分の子供のときの体験が山のように出ていた。体験が 大切だ、と言いながら莫大な量の引用をする矛盾。人間は体験だけでは不自由 なので知識というものが大切だということがわかっていない証拠である。

さて・・・、ツッこみ所は山のようにあるが、「戦争論妄想論」という 本もあるので、多くは書かない。2点のみ指摘する。

1つ目は、氏が公を強調し、公の下に個があるように書いていることであ る。これは明らかにおかしい。公の下に個があるべきであれば、個など必要な いのである。個があって、それがうまく共存するために公があるのであって、 公がトップにくることはないのである。

2つ目は、虐殺等に関する記述。氏は中国の文献では、実際の数字と書物 に書かれる数字が違うことを知らないらしい。(これは高校で習ったのだが・・・) 大量ということを示すときに、八、百、百万、などと、おおざっぱに表現する のである。だから、南京大虐殺の数字がデタラメだ、などと指摘するのは無意 味である。ただ、虐殺があった、という事実があるのみである。

ただ、氏に賛同しないところもないでもない。欧米諸国の責任問題がウ ヤムヤになっていることである。そもそも私は戦争自体撤廃主義なので、当然 欧米諸国の行動が謝罪されるべきであると思う。未だに、スミソニアン博物館 の原爆関連展示の取りやめがあったことには立腹している。

ところで、偶然最近ニュースで、イギリスで、日本とイギリスが共同で 戦争の慰霊の為の木を植える、という話があった。お互いを憎みあうのではな く、お互いに理解しあうことが大切だし、人のために死んでいった人のことを 敬うことは我々の行わなければならない行動ではないだろうか?高校時代、教 科書に載っていた戦死した兵士たちの墓(十字架)が延々と続いていた写真の ことは今も忘れない。

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宮台真司・松沢呉一「ポップ・カルチャー」(2000/08/15)

ミヤダイ先生と、風俗ライター松沢氏(参考文献「風俗就職読本」)が交代交代に諸 世界の方々と対談をまとめた本。最後に宮台氏と松沢氏との対談が収録されて いる。

この2人のことだからさぞかし深い話をしているのか、と思いきや・・・ 案外話の密度が薄い。出展が新聞、ということもあるのかもしれない。各章各 章が短すぎて物足りない印象を受ける。あえて、面白い章を挙げるとすれば

というわけで、立ち読みの際はこの辺を注目してはいかがだろうか。じっ くり読みたい、という方には申し訳ない。地味に全部読んでください。

さてこの本は買いか?と言われるとちょっと悩む。読むのが早い人なら 立ち読みでいいのではないか、と思う。ただ、興味深い脚注が入っているので 資料として買うのもいいかもしれない。最後に。宮代氏と違い松沢氏はあまり 日の目を見ていない。これからもっとメディアで活躍していただきたく思う。 非常に才覚があると思うのである。

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ナンシー関・町山広美「隣家全焼」(2001/08/09)

対談物、というのはちょっと読み方にコツがあると思う。しばらく対談 を多めに読んでコツをつかもうと決心する。ということで、対談物の本である。 と、いっても、作者2人がひたすら毎回決められたテーマについて話す、とい うことなので読むのも比較的楽だ。芸能に熟達した2人の話なので当然話は芸 能界の動向などになる。

ただでさえ著名で、切れ味のある2人の対談なのだが、なぜかあまり面白 くないのはなぜだろう。文庫ということもあって、話が老朽化していることも あるが、どうやら自分の中で積み重ねられてきた「ゴシップ好き」という観点 から外れているかららしい。二人のやりとりはギャグが交えられているが、真 面目な方向性を保っている。「ハマコーが総理大臣になる」等のハメの外し方 がないのである。芸能好きだが、意外性の好きな方には向かないかもしれない。 改めて自分のジジ臭さを実感。

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山田詠美「熱血ポンちゃんが来たりて笛を吹く」 (2001/08/05)

最近ほとんど本を読んでいなかったのでリハビリ、リハビリということ で、短編やエッセイ等から攻めていくことにする。詠美さんといえば、「熱血 ポンちゃん」シリーズは欠かせない。未読のものがあったので、ここから手を つけていく。

エッセイだから、すぐ読める・・・と思ったら大間違いだということに 気が付く。2/3ほど読み進んできた時、気がついた。エイミーの根本にあるも の、それは何か?小説では愛として表現されている。熱血シリーズは軽いと思 われがちで、ベースがしっかりしていることを忘れがちなのだ。熱血シリーズ の多くを占める物、それは「食」である。なにげにパラパラっとページをめくっ てみればわかる。食に関する話が多く、そして魅力的な紹介がされている。結 局「愛」≒「食」のようなもんで、エイミーの根本をしっかりと受け止められ るだけのキャパがあるときに読むべきなのだ、と実感したのだった。

そして「食」と同時に大切なテーマは「おしゃれ」「人」という2つで ある。いつも思うのだがエイミーの周りの人って素敵な人ばかりだ、と思う。 きっと、八方美人ではダメなのだろう。嫌いな奴はほおっておくべきなのか。 そしてこの本を読んで一番驚いたのは、詠美さんが厚底サンダルを履いている ことだった。うーん。素敵な人ってどんなかっこうでも似あうよね、というこ の世界の不平等な法則があるが、ぜひサイン会でその姿を披露していただきた いものである。

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LinusTorvalds「それがぼくには楽しかったか ら」 (2001/07/26)

うわ〜、おいら全然読書してないじゃん(渋谷系)。最近めっきり紙の活 字から離れてしまいました。ぼちぼち読書は続けますのでよろしく。

リハビリ、ってこともあってひさしぶりの読書は技術系から手をつけま した。長年使い続けてきたLinuxのことだけあって既知のことが多い。例えば Linux vs Minixのフレーミング等々、このへんの話はNet上で調べた方が臨場 感もあり、現物も見れるので、時間のある方はぜひ御覧いただきたい。

さて最初の方の文章はLinus氏の子供時代、Linux誕生などが語られてい るが、あえてこのへんは無視する。この本を技術書として見ないのであれば、 10章から読むことをオススメする。(機械のことはわからないけど、とりあえ ず手に取ってみた方にもここから読むことをオススメする。)。今までの既成 概念かを持っている人にはショッキングかもしれないし、FSFなどフリーソフ トウェアについて知っている人にはLinus氏のスタンスがよくわかってもらえ ると思う。この人は"独特"だ。

なぜ"独特"と思ったのか。じっくり考えてみたが、「自分がいかにアメ リカナイズされているか」ということに気がついた。GNUなどと違い、ヨーロッ パ文化圏で生れたLinuxというもの。これがアメリカ主流のコンピューターの 世界になかったからなのだ。

コンピューターの世界ではニューカマーと言っていいLinus氏の考えに触 れて自分が少し変ったような気がする。Linuxのソースからわからない何かを。

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小谷野 敦「もてない男−恋愛論を超えて」 (2001/05/26)

うわっ、1ヵ月近く本読んでないやん。本当はそういう訳ではないのだ が、なにせ読書スピードが落ちているのである。時間が空いたらメール打ちと かで、本当に時間がない。ちょこちょこ読んで・・・3週間くらいかかってま す。この1冊で。ちょっと方向性を考えよう。

さて、言い訳は置いておいて書評。なんせ3週間近くかかったので、最 初の方はどういう内容か忘れているのである。あかんやん。後半中心の書評で す。

とにかく、この本は面白い。内容云々だけでなく、文体もポップという か非常に読みやすい。それで読書が進まん、とはどういうことだ、と突っ込ま れそうだが、ひょっとしたら、ポップな文章は読みにくいのかも(おぃ)。面 白いから食が進んでいるように見えるが、幻覚?なのかもしれない。麻薬的だ な。

ところで、この本はメル友の人に教えてもらったのだが、実はそのメル 友と文体が似ている。お前のメル友なんてしらねーよ、という声もあるだろう が、とりあえず聞け。そのメル友もこの本は面白い、と言っていたが、必ずし も違った方向性であるようだし、他の作品ではあまりこの人のことが好ましく ないように言っている。じゃあ、何で似ているのか、というと文章の軽快さが メル友が元々持ち合わせていたのでなく、伝染したのだと思った。あとがきに は「私念で書かれている」などと書いてあったが、やっぱ怨念がつまってるの かな、伝染能力が高いと思う。

基本的に作者から見た恋愛論を中心に輪を描いた作りである。そう思わ れないかもしれないが、結局はそこに還元されると思う。かといって、普通の 恋愛を期待して読んではいけない。ある程度ラジスティックな思想の持ち主で なければ賛同してもらえないような所が多々ある。

また、メル友曰く、珍しく宮台真司、上野千鶴子ことをつついている本、 という評価。確かにそうかもしれない。ネット上では鋭いところを突いた文章 を見ることがあるが、実際の本ではなかなかない。特に宮台真司のよく言って いる「コミュニケーションスキルの向上」という点は、「んじゃ、どうしたら ええんや」という本質を突いた発言をしている。まぁ、宮台氏は未だ「不自由 なあなた」なのだからなぁ。と思わなくもない。計算方法はいざ知らず、理論 だけ構築した宮台氏の功績を認めないわけにはいかないと思うが、計算方法を どうにかしろ、というこの本のコンセプトも間違っていないと思う。

まあ、思想書として考えると660円と消費税というのは安いぞ。もてない 男というより、普通の人に読んでいただきたい。

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福田和也「なぜ日本人はかくも幼稚になったのか」 (2001/04/29)

この本を読んでからちょっと悩んだ。自分は別に日本人でなくてもいい、 というか日本人ではない。そう思うのである。たまたま日本に住んで金を払っ ているからそのくらいのことをしてもらって当然なのであり、そういうものな のである。別に他の国に住みたきゃ住むよ。

この本の著者はずるがしこい、というか、ピンポイントでうま〜いこと ついてくるのだ。読んでいて、「あぁ、そうなのかな」と単純な私は思ってし まうのだが、何となく後味が悪い。なんか、こんな言い方されてもなぁ、と思 う。とりあえず自分のことを棚に置いておくしゃべりもなんだかなぁ、と思う。 筋はうまく通っているのだが違和感があるのである。

この人を分類(?)すると「ちょこっと右」(byプッチモニ)って感じなの だ。リベラリストでありたいと思う私の葛藤をうまくついているに違いない。

ただし、「おお、その通りだぁ」と思わなくもない所があったので、場 所だけ説明しておくと「他人の価値との衝突を恐れてはならない」「「命が一 番大切」だからこそ子供がどんどん死ぬのです」というところである。人間生 きていくことに価値を置くような世間風潮の考え方を否定し、何かをすること に価値観を置いている。これは以前読んだ「悪の対話術」でも「若さだけが大 切なのでしょうか」という所に通じる。生きることが尊いのではなく、いかに 密度を濃くするかが大切なのである。そう思った。

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筒井康隆「脳ミソを哲学する」 (2001/03/31)

いきなり何だが、この本は筒井康隆にナビゲーターを務めさせる必要性 があったのか?と思う。確かにあいづち、話の運び方はうまいが、他の人でも 十分できることだと思うのである。(ではナビゲーターを誰にするか?と問わ れると困ってしまう所だが…)もちろん科学者から見た話は面白いが筒井氏は オマケでしかない。それならもっと安く雇える人を選んで本書の定価を下げた 方が社会のためではなかろうか?(ただし、筒井氏でないと売れない、という ジレンマはあるかもしれないが)。

さて、内容について。数学の講師に森さんはないだろう、と思う。人手 不足?もっと歌って踊ってベタも塗れる(嘘)数学者が出てこないものか。(そ ういえばピーターフランクルさんはどう?)話題的には6章の気象学者の方。こ の方の話は今でも「ええぇ〜、そうなのかぁ」と思うことマチガイなし。7章、 理論物理学者の方。これは科学全体にまたがる、完全に自分の講義と化してい る(笑)。立ち読みをする方は、この2章をぜひともお忘れなく!

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伊丹 十三「女たちよ!」 (2001/03/31)

これは…エッセイ?「随筆」とは書いてあるが(架空であれ)日常のささ いなことを書いた本とは違う。では、何が違うのかというと「こだわり」であ る。普通のエッセイでは、1にこだわり、2にこだわり、3、4がなくて、5にこ だわり、ってわけにはいかないでしょ?しか〜し、この本はそうなのである。 (一部誇張表現有)あらゆることにこだわる筆者に思いをはせると、読者も同じ ようにこだわりたくなるに違いない…のだが、なんせ量が違う。あれにこだわ り、これにこだわり、何から何まで様々な所でこだわっている。この傾向は 「ヨーロッパ退屈日記」でも同じである。(余談だが伊丹氏の本でマメ知識(?) を求める方は必ず本屋でチラリと見て、これはどうかな〜、と判断するべし!) 私は不幸にも記憶力がないので、コンピュータのデータベース化してすぐに取 りだせるようにしたいものである。誰に許可取ったらいいのかな?はて。

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斉藤 綾子「愛より速く」 (2001/03/29)

出版は平成2年だそうで…11年前?今だもってこの本は鮮やかさを失しなっ ていない。そして、このポップで軽快な文体には驚きを隠せない。まさしく筆 者の才能を感じさせる…。が、こういう文体は好きじゃない。私はもうちょっ とタイトな文体を好む。ただしあくまでこれは私個人の意見。書き手を選ぶで あろうこの作品、内容は彼女以外、誰を想像すればいいのか悩むほどである。

人間いつまでも同じノリで生きるわけではあるまい。(人によるけど)も し最新作が手元にあればぜひ読んでみたいと思う。ただし自分で買わないだろ うけど:-)

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田中 康夫・浅田 彰「神戸から長野へ」 (2001/03/28)

対談、というのは読みやすいのか読みにくいのかよくわからない。ササ サァーっと目を通すのは小説などと比べてとても楽なのだが、実は話の本質が 見えていないことが多いし、同じようなフレーズを何度も読まされるというこ とが多々ある。

そんな観点から言えば、この本はただの対談集であるが、非常に濃い。 すばらしい濃度を持っている。この2人の特徴として、田中康夫は「チャカし 上手、ギャグ好き」、浅田彰は「明晰な頭脳から割りだしたキレのある文章を 書いているように思う。しかしもって、浅田彰の眼力はすごい。もっと早くか らその存在を知っていれば…、と思った。田中ちゃんは…実はあんまり好きじゃ ないけど(けど高校生の時は田中ちゃんの受験指南書を読んでました(笑))…う まく乗せてるし、乗せ上手なのだなぁ、と思った。しかし、浅田氏を相手にし てこれだけのリズムを作っている所を見ると、かなりのポテンシャルを持って いることは否定できない。ダテに知事はやってないね(笑)。さて全然内容に触 れてないんですが(笑)。まあ、あえて書くこともないかと思いまして(笑)。 「文化人を斬る!」「未来予測」「ネタ(真実味系)」「ネタ(ギャグ系)」とい う4つの分類でいいかな?と思う。様々な文化人にかぶれてきた人はぜひ一読 を。

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k.m.p(ムラマツエリコ・なかがわみどり)〜ぐるぐるなまいにち〜 (2001/03/27)

この方の本を読むのは2冊目です。前に読んだのは「金もーけプロジェク ト」でしょうか。この2冊に限っていえば文字と絵があふれている。自分たた がやりたいことを追求していった結果こうなったのだな、と思う。この2人の 思いはいまだにあふれつづけてるんだろうなぁ、と感じるし、仕事がなくなる? ような時代の福音になるかもしれない(言いすぎ(笑))一番力が入っていると思 われるのは、自分が女性という立場から「結婚」って何?などどいうことにつ いて自分流の考え方がはっきり表現されていて、まったくもってその通りだぁ! と思った。この2人にいいパートナーができることを願うばかりである。(ちな みにEvenなカップルにあこがれる方は内田春菊「悪女な奥さん」を一読するこ とをオススメする。(文庫有)フェミニズム的な論点からいくと上野千鶴子さん あたりなんですかね?(読んだことないので。誰かツッコんでくらはい)

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福田 和也「悪の対話術」 (2001/03/24)

一言で言うなら本当の大人のダンディズム。基本は常に自意識を高めい かにして自分をアピールしたり社会・個人を相手にするか?ということ。私自 身としては同意するところ、かくありたい、と思うことが多かった。ただし、 この自意識のコントロールが難しいったら…、ありゃしない。高すぎるとイヤ ミだったり低すぎると、迷惑な人になってしまう(自意識のことです)。いわゆ る中庸、ということ?この本の作者さんは、私の愛する柳美里さんと仲が悪い みたいだけど、「この人はキレ者だな…」と思った。ぜひともこの人の感覚を 学びたいな、と思う次第。

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別冊宝島編集部「「死んでもいいや」症候群」 (2001/03/01)

こんな本読んでるから暗くなるんだよ。という説があるかも知れん。確 かに(苦笑)。でも人間って調子悪い時ってこういう本を読みたくなりませんか? 違う?私だけ?うーん。

とりあえず非常に気になったのが、鶴見済の影響である。この本の随所 に「完全自殺マニュアル」「人格改造マニュアル」という言葉があふれている。 鶴見フリークではあるのだが、ここまで派手に影響が現われているのを見ると 驚かざるを得ない。しかし、最終章(「百年の孤独」)で派手に非難されている ように見える。はっきり言って、この章を担当している者の文章ははっきり言っ て憤慨を覚えずにはいられないし、非常に腹が立つ。うむ。特に呉智英はムカ ツクな。いい歳してこれかい、と思った。

あと自殺意外のTOPICSも多いような気がする。レンタルお姉さん、とか ね。

最後にオススメ点として、EPILOGUEをの文章を勧めておく。私はその文 章で揶揄(?)されているような宮台・鶴見フリークなのだが、すごく痛い所を 突かれているような気がする。そして、そういう風なつつき方ができる人間は ごく稀に見ることができるのだが、そういう人間がうらやましいという感覚が ある。こういう風にクールに見れる人間は増えないものか、と思うところであ る。

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喜多村 直「ロボットは心を持つか〜サイバー意識論序説〜」 (2001/03/01)

タイトルをしっかり読まずにとりあえず手にしたのである。「意識論序 説」とある通りこの本はロボットを作成する上での技術論ではなく、むしろ哲 学的な見地に近い、「ロボットとはどのようなものなのか」ということが述べ られている。著者は科学者で、科学者が理解する哲学、というものが述べられ ていて、ひょっとしたらこれでもすごく理解しやすいのかもしれないが、完全 に私の手に余る物であった(苦笑)。難しいけど、おもしろい所を拾い拾い読み 通すことは可能であると思う。

さて私は人間=ロボットになる、という立場を取ってきたのだが、その考 え方は違う、と思いっきり否定されてしまった。うーん。しかし、これはこの 人の立場から見てそう思うのだろう、ということで無視させてもらうが、もう ちょっと色々と哲学的に考えてアイディアを出すことが必要なのだな、と思う のである。ロボットロボットと浮かれる前に読んでみたほうがいいかもしれん。

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柳 美里「魂」 (2001/02/08)

1月発売らしい。知らなかったのだが、本屋で見つけた時、速攻で購入し た。とりあえず読みかけの本を読んだ後は絶対にこれを読もうと思っていた。 この物語の第1章である「命」はあまり評価はしなかったが、「次回作に期待」 という評価を下していた。とりあえず、オビの文章から読んでみる。それだけ で私の気持ち高ぶらせていた。本の内容を前にオビのこと。裏側は作品からの 完全な引用だったが、表の方は誰かが編集したものであった。そっちは、「な んか違う」と思った。コピーもあんまり好きじゃない…。「命」もオビが悪い と言った記憶がある。どうにかならないかな。

読み初める。面白い…。ちょっと語弊があるか?Funny、intersting…ピッ タリの言葉が浮かばない…。とにかく私はこの本に憑依され、貪るように読ん でいった。そうせずにはいられないのだ。私もヒマ人ではないので読んでる間 に妨害が入ったり、ごはんを食べたりしたが、この胸の高鳴りはおさまらなかっ た。時間を置いてもドンドン読んでいった。事実は小説より奇なり、と言うが、 まさしくそうだ、と思った。目が離せない。この話はノンフィクションとして 扱うべきなのだろうか?まあ、美里さんが構築していって、推敲までしている ということもあるが、柳 美里の視点から見た事実として扱うべきだろう。

内容は私が待っていたもの…ある意味ヒトデナシ的な発言だが…が収め られている。Crymaxという言葉があるが、まさしくCRY-MAXというべき感がす る。引用はしないがかなり気になる文がある。一番気になったことをはしょっ て言うと、「丈陽くんより東さんの方が大切」ということである。「命」を読 んだ時に丈陽くんと美里さんとの関係が普通ではない…美里さんは岸田秀さん が好きで、人間は本能をなくした生きものである、という説があるのだが…母 性本能的なものが見られなかった。この本を読んだ限りでは丈陽くんと美里さ んの関係はあまり変っていないように思われる。どちらかというと丈陽くんは 天使的な存在であったと言える。東さん、美里さんを救うための。しかし、こ のままでいいのか?という感は拭えない。

話は変るが、ニュース番組NEWS23の特集「命」で美里さんをカメラの目 線で追いかけている。生の美里さんは「仮面の国」で見せたような鋭さはどこ かに消えさり、ただ一人の女性…かよわい女性…に見えた。その特集は東さん の生きている間と亡くなってからが半々に配置されている。生きている間…癌 との闘病…の生活を見ていると、なんだか切なくなって「大丈夫、大丈夫だよ」 と抱きしめてあげたいような気分になる。東さんが亡くなってからは、葬儀か ら間がある(半年ほど過ぎての映像であった)のでちょっと難しいが、なんとな く親子として見えた。なんとなく。少なくとも美里さんの表情は明るかった。 美里さんはすべてをふっきることができたのだろうか?「命」「魚が見た夢」 と取りだして、葬儀から半年の間の美里さんの考えを探してみる。美里さんは 「生きることを迷っている」と書いている。再び問う。果して彼女はふっきる ことができたのだろうか?私は切に願う。柳 美里という作家が消えてしまわ ないように。そして一人の人間として自殺をしないように。

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